光とメンタルの関係|北欧で暮らして感じたこと

【導入】

スウェーデンで暮らすようになってから、「光」がただの自然現象ではなく、生活や気分、考え方にまで深く影響するものなのだと実感するようになりました。

日本にいた頃も、晴れている日は気分が軽くなったり、雨の日は少し落ち込んだりという感覚はありましたが、北欧の光と暗さのコントラストは、その揺れ幅を何倍にも大きくしたような感覚があります。冬は朝になってもなかなか明るくならず、夕方前にはもう暗くなってしまう。

一方で、春から夏にかけては、夜になっても空が白く、光がいつまでも残り続ける。カレンダーの上では同じ一年でも、「光の量」がまったく違う二つの世界を行き来しているような感覚があります。

その中で暮らしていると、「今日はなんだか前向きに考えられる」「今日はどうしても気持ちが重い」といった心の状態が、天気や日照時間と強く結びついていることに気づかされます。海外で子育てをしながら、仕事や日常のタスクをこなしていく中で、「自分のメンタルは、自分の意志だけでコントロールできるものではない」という当たり前のことを、光を通して何度も思い知らされてきました。

このブログでは、北欧で暮らす中で感じてきた「光とメンタルの関係」について、冬と夏、それぞれの季節の体感や、日々の中での小さな工夫を交えながら言葉にしてみたいと思います。

光と季節の変化については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。 👉 日照時間が急に伸びる季節|スウェーデンの5月の光

冬の暗さがもたらすもの|スウェーデン 光 メンタル の影響

スウェーデンの冬は、とにかく「暗い」という一言に尽きます。朝起きてもまだ外は薄暗く、子どもを送り出す時間になっても、太陽が顔を出していない日も少なくありません。

  • 朝9時近くになってようやく少し明るくなる
  • 15時を過ぎると、もう夕方というより「夜」に近い暗さになる
  • 曇りの日は、一日中「薄暗いグレー」のまま終わることもある
  • 外に出るのが少しおっくうになり、家の中で過ごす時間が増える

この暗さは、最初の数年は「非日常」として面白く感じる部分もありますが、長く暮らしていると、じわじわと心に影響を与えてきます。

やるべきことは同じなのに、体が重く感じたり、集中力が続かなかったり、「なんとなく気分が上がらない日」が増えていきます。頭では「季節のせいだ」とわかっていても、「自分のやる気が足りないのではないか」と責めてしまいそうになる瞬間もあり、そのバランスを取るのが難しいと感じることもあります。

こうした冬の暗さに心と体が影響を受けやすいからこそ、日照時間が短くなる前から意識的に体を動かす習慣をつくっておくことが、とても大きな助けになります。スウェーデンの人たちが、秋頃からジムに通い始めたり、散歩の時間を増やしたりするのは、冬に向けた“準備”のようなものでもあります。

私自身も、冬の重さに飲み込まれないために、軽い運動やサウナを定期的に取り入れるようになりました。運動で体温が上がると気持ちが前向きになり、サウナで深く温まると、心の緊張がほどけていく感覚があります。外の光が少なくなる季節でも、身体の内側からエネルギーをつくることで、冬の長さに振り回されにくくなるのだと感じています。

スウェーデンの季節ごとの日照時間については、👉 Weather Spark の公式も参考になります。

スウェーデン 光 メンタル に影響を与える冬の暗い雪景色の住宅街
朝になっても薄暗い冬のスウェーデン。静けさと重さが心に影響します。

光が戻ってきたときの感覚|身体が先に反応する

一方で、冬が終わりに近づき、少しずつ日照時間が伸びてくると、身体のほうが先に変化に気づきます。

  • 朝、カーテンの隙間から光が差し込む時間が早くなる
  • 夕方になっても「まだ見える」明るさが残る
  • 外に出たとき、光の強さに少し目が慣れない感覚がある
  • 特別なことをしていなくても、気分が少し軽くなる

日本にいるときは特に意識することはなかったが、「今日はなんだか調子がいいな」と思ってから、「そういえば、最近少し明るくなってきたな」と気づくことも多いです。光の量が増えることで、睡眠のリズムや食欲、やる気といったものが、少しずつ自然に整っていく感覚があります。自分の意志で「頑張る」というよりも、環境の変化に背中を押されているような感覚に近いかもしれません。

夏の光がもたらす高揚感と疲れ

夏が近づき、日照時間が最大に達する頃、スウェーデンはまるで別の国のようになります。どことなく人々の表情も明るくなり、外で過ごす時間が一気に増えます。

  • 夜になっても空が白く、完全な暗さにならない
  • 21時を過ぎても公園で遊んでいる子どもがいる
  • 平日でも、仕事終わりに外で過ごす人が多い
  • 「今のうちに楽しんでおかなければ」という空気が生まれる

この時期の光は、メンタルにとっては「追い風」のような存在です。冬の間に感じていた重さが嘘のように消え、「あれもやってみよう」「ここにも行ってみたい」と前向きな気持ちが自然と湧いてきます。その一方で、光が強すぎるがゆえに、「休むタイミングを見失う」という別の難しさも出てきます。気づけば夜更かしが続き、体力だけが先に限界を迎えてしまうこともあります。

スウェーデン 光 メンタル に影響を与える夏の夕暮れと海辺で遊ぶ子どもたち
夜になっても明るさが残るスウェーデンの夏。子どもたちのエネルギーも続いていきます。

子育てとメンタル|光に揺さぶられるのは大人も子どもも同じ

子育てをしていると、光の影響を受けているのは自分だけではないことに気づきます。子どもたちもまた、日照時間の変化に敏感に反応しています。

  • 冬は朝起きるのがつらそうで、エンジンがかかるまで時間がかかる
  • 暗い中での登園・登校は、どこか静かな雰囲気になる
  • 春から夏にかけては、朝からテンションが高く、外に出たがる
  • 夜になっても元気が続き、なかなか「一日を終わらせられない」

子どものメンタルもまた、光とともに揺れています。親としては、自分自身の気分の波と、子どものエネルギーの波の両方に向き合うことになり、「今日はどちらの波が大きいか」を見極めながら一日を過ごしているような感覚になることもあります。

そんな中で、「今日はうまくいかなかったな」と感じる日もあれば、「今日は光に助けられたな」と感じる日もあり、その繰り返しの中で少しずつ、この土地の季節のリズムに馴染んでいくのだと思います。

自分なりの「光との付き合い方」を見つける

北欧で暮らしていると、「光に合わせて生きる」のではなく、「光とどう付き合うか」を考えることが大切になってきます。完全にコントロールすることはできませんが、自分なりの工夫で、メンタルの揺れを少し和らげることはできます。

  • 冬は意識的に外に出る時間をつくる(短時間でも)
  • 室内の照明やキャンドルで「光の層」を増やす
  • 気分が落ち込む時期は、「季節のせい」と言葉にしてみる
  • 春から夏は、「全部やろうとしない」ことを意識する

「自分が弱いから落ち込む」のではなく、「環境の影響を受けているだけだ」と認識するだけでも、気持ちが少し楽になります。特に冬の間は、「今日はこれだけできれば十分」とハードルを下げることも、メンタルを守るための大事な工夫だと感じます。一方、光が溢れる季節には、「全部に応えようとしない」「あえて何もしない日をつくる」といったブレーキも必要になってきます。

日本との違いから見えること|季節と心の距離感

日本で暮らしていた頃も、季節によって気分が変わることはありましたが、スウェーデンに来てからは、その変化がより「はっきり」と感じられるようになりました。

  • 日本:四季の変化はあるが、日照時間の差はここまで極端ではない
  • 北欧:光と暗さの差が大きく、メンタルへの影響もダイレクト
  • 日本:季節の変化は主に気温や景色で感じる
  • 北欧:まず「光の量」で季節を感じる

北欧で暮らすようになってから、「自分のメンタルは、環境と切り離せない」という当たり前のことを、より強く意識するようになりました。日本にいた頃は、「気分が落ち込む=自分の問題」と捉えがちでしたが、ここでは「今日は暗いから、こう感じるのも自然だ」と、季節と心の距離感を少し客観的に見られるようになってきた気がします。その視点を持てるようになったことは、海外で暮らす中で得た大きな学びのひとつです。

【まとめ】

北欧で暮らしていると、「光」と「メンタル」の関係を、頭ではなく身体で理解するようになります。

冬の暗さは、静けさや内省の時間を与えてくれる一方で、気分を重くし、やる気を奪っていくこともあります。逆に、春から夏にかけての光は、前向きな気持ちや行動力を引き出してくれる一方で、休むタイミングを見失わせ、知らないうちに疲れを溜めてしまうこともあります。

その両方を何度も行き来する中で、「自分の心は、自分だけのものではなく、環境と一緒に揺れているのだ」という感覚が、少しずつ腑に落ちてきました。

海外で子育てをしながら、この光と暗さのサイクルの中で暮らしていると、「今日はうまくいかなかった」と感じる日も、「今日は光に助けられた」と感じる日も、どちらも自分の一部として受け入れていくことが大切なのだと思うようになりました。完璧にメンタルを整えることを目指すのではなく、「季節と一緒に揺れながらも、少しずつ自分なりのペースを見つけていく」。

そのプロセスこそが、北欧で暮らすということの一つの意味なのかもしれません。これからも、光に振り回されながらも、その変化を丁寧に言葉にしていくことで、自分自身の心の動きも含めて、北欧での暮らしを記録していきたいと思います。

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